結婚式(服装のマナー)

結婚式や披露宴の招待状に「平服でお越しください」と記されていたので、普段着で結婚式に出席した、という社会人1年生のニュースを耳にして、驚いた経験があります。

まず、平服とは「カジュアルな私服」のことではないと肝に銘じてください。平服とは「正装(男性ならモーニングやタキシード、女性ならロングドレスや着物)でなくてよい」という意味です。つまり、「略式礼装の装いでお越しください」ということです。

男性なら冠婚葬祭用の黒のスーツ、通称「ブラックスーツ」あるいは無地のダークスーツにネクタイ着用、女性なら白以外のパーティドレス、ワンピース、着物ということになります。ただし、披露宴の二次会や友人が集うカジュアルなパーティの場合は、男性のノーネクタイOKというケースはあります。


①立場や役職にふさわしい服装を
服装を選ぶ際に肝心なのは、招待された結婚式スタイルに応じた服装を心がけること。そして、新郎・新婦との関係によって服装を変えることです。あなたが新郎あるいは新婦の上司であれば、立場や役職にふさわしい服装をしなければいけません。

自社の人や取引先など他社の人問わず会社関係の人として出席する場合は、新郎・新婦ととても仲が良くても親戚や知人・友人とは立場が異なります。常に会社の看板を背負っている自覚を持つことが大切です。

服装の選択を間違えて主役の2人より目立つ格好をしたり、場違いな服装で出席したりして「新郎・新婦の会社には礼儀知らずの人がいる」と見なされ、会社の印象を悪くしかねません。

結婚式の服装には、様々なルールがあります。選んではいけない格好やアイテムも多くあります。まず、そのことを意識してください。

②女性の場合
女性は男性よりも服装の選択肢が多く、オシャレに着飾ることができます。それでも会社関係の結婚式の場合、個人ではなく会社を代表して出席することになるので、服装ルールはより厳しくなります。

一般の結婚式・披露宴ではパーティドレスやワンピース、スーツアンサンブルでよいでしょう。ただし、女性ならではのマナーがいくつかあります。新郎・新婦の家族や友人から「会社関係の出席者に場違いな人がいる」「あの会社は非常識な人の集まりかしら?」と噂されないように、まず「これだけは守ってほしい」という基本的なルールを紹介します。

1.新婦より目立たない服装を心がける主役はあくまでも花嫁です。あなたが花嫁より目立ってしまわないよう注意して服装を選んでください。


2.白以外のドレスを着用する
結婚式で、全身白色の衣装を身につけることのできる女性は花嫁さんだけです。白以外の色を選んでください。

3.肌を露出しすぎないようにする
夜のパーティならカクテルドレスでも結構ですが、昼間の披露宴で肩出しドレスを着用する際にはストールやショール、ボレロなどを着用し、露出している肩を隠しましょう。

キリスト教式の結婚式ではノースリーブや胸の谷間が大きく開いた服装は好まれません。教会によっては入場を断られるケースもあります。ストールやショールを持参してください。

4.着物は和装のルールに従う
着物は柄の季節感、既婚者用・未婚者用など細かなルールがあります。着用の際には着物に詳しい人にアドバイスを受けましょう。

③男性の場合
ここで紹介する男性の基本となる服装のマナーは、友人であっても同じです。女性ほど多くの選択肢はないので、まず基本を頭に入れておいてください。

1.新郎より目立たない服装
主役は新郎・新婦です。派手な色のスーツや新郎が着用するような羽織・袴を着て、新郎より目立つようなことがないようにしてください。

2.ブラックスーツか無地のダークスーツを選ぶ
上司や同僚、部下の結婚式への出席は仕事の延長ではありません。いくら会社を代表して参加するといっても、普段の営業スーツのまま出席しないようにしてください。

3.ネクタイは白かシルバーグレー
白とシルバーが正装カラーです。各界からゲストが出席するような披露宴や格式の高い披露宴などでは、必ず白かシルバーグレーのネクタイを選んでください。

4.足元は紐靴(レースアップシューズ)
ブラックスーツやダークスーツの足元は、黒の革靴で紐靴を選んでください。靴のデザインはストレートチップやプレーントゥ、ウィングチップがよいでしょう。スニーカーはもちろんのこと、ローファーなどカジュアルな靴はNGです。

あなたが新郎もしくは新婦の上司である場合、あるいは社内である程度の役職に就いているのなら、フォーマルファッションで臨むのがよいでしょう。昼間の準礼装としてはブラックスーツが最適です。

あなたのほかに会社から役職の高い人が出席する場合、あるいはあなた自身の役職がそれほど高くない場合は、会社を代表する意味合いは薄れるので、無地のダークスーツでもかまいません。ただし、前述したネクタイや靴のチョイスなど最低限のマナーを守ってください。

④女性の服装のNG例
結婚式や披露宴などのおめでたい席には、普段と違ったオシャレをして出かけていきたいものです。いわゆる「お呼ばれファッション」です。会社関係の結婚式なら、品のあるパーティドレスや清潔感あふれるワンピースがよいでしょう。

それでも、おめでたい席だからこそしてはいけないファッションも多くあります。次に服装、靴、バックなどファッションのタブーと、アイテムを選ぶ際の注意事項をまとめました。参考にしてください。

●スカート丈
スカートの着丈はヒザ下くらいが最適。レースのミニドレスや大きなスリットが入ったセクシーなドレス、ヒョウ柄などのアニマルプリントのドレスなどは会社を代表して出席する場合、ふさわしくありません(クラブで行なわれる夜のパーティに個人として参加するならOK)。

●ドレスの色
色は白以外の服装を選ぶのが基本ですが、アイボリーや薄いピンクの服装は遠目には白色に見えることがあるので注意。また、黒一色の服装や黒の多用は喪服を連想させるので避けてください。

●靴
靴はフォーマルな革製ものを選んでください。エナメル加工が施されていれば華やかな場にふさわしいでしょう。ヒールは3センチ以上の高さがあるものが最適です。

厚底やゴム素材の靴は結婚式や披露宴には向きません。カジュアルなレストランで開かれるパーティなら、夏場はミュール、冬はブーツでも結構ですが、それ以外ではミュールやブーツは控えましょう。

●女性のパンツスーツ
女性のパンツスーツはNGではありませんが、黒を選ぶと式場で働く「女性ディレクター」のように見えてしまいます。注意して選んでください。

●バック
バッグはクラッチバッグやレース使いの小ぶりなバッグ、小ぶりのセミショルダーバッグがよいでしょう。持ち手がチェーンなら華やかさを演出できます。

●素足
素足はNG。ストッキングはベージュがベストです。パーティドレスの色に合わせたカラータイツは品がないので選ばないのが無難です。黒のストッキングは、喪服を連想させるので結婚式にはふさわしくありません。網タイツも不向きです。

※会社関係の結婚式の服装のマナーに関して、最後にメイク、アクセサリーにもふれておきます。

●アクセサリー
結婚式でのアクセサリーは、女性に限っていえば正式なものはパール(真珠)です。パールのネックレスは応用範囲が広いので1つ持っていると便利です。ほかにパールのイヤリングや指輪を合わせると品が生まれます。

●メイク
女性のメイクは、派手すぎるのも地味すぎるのも禁物です。ましてやノーメイクはマナー違反といえるでしょう。会社関係の出席は、清潔感にあふれるメイクがベストです。

●香水
披露宴は食事の場でもあるので、香のきつい香水は周囲の迷惑になります。控えめにしましょう。

⑤おしゃれにみえる男性の礼服ファッション
男性はブラックスーツに白かシルバーグレーのネクタイをして黒の革靴を履いていれば格好がつきますが、ほんの小さな演出で一目置かれるファッションを演出できます。特に新郎・新婦の上司としてスピーチを依頼された場合、全員の視線が集まるので「見られる」ことを意識して、小物でセンスのよさを演出してください。

たとえばスーツの胸ポケットにネクタイと同じ色のポケットチーフを挿すだけで洗練さが生まれます。素材はシルクがベストです。小さなチーフが胸元にあるだけで「(新郎あるいは新婦の)上司はセンスのよい人だ」「細かなことに手を抜かない人なので仕事もできるのだろう」という印象を与えることができます。それがひいては会社のイメージにもなります。男女ともキラっと光るセンスを発揮して、会社のイメージアップに貢献してください。