15秒で話す!エレベーターピッチ基礎編①

簡単に話すこともビジネスマナーのひとつです。
・忙しい上司への「報・連・相」を行うとき
・忙しい顧客に商品やサービスをご紹介するとき
・パーティ会場で憧れの企業経営者に自己紹介するとき
このような忙しい人に話をする機会を得たなら、用件や意思など、 伝えるべきことを魅力的に、かつ限られた短い時間で伝えなくてはなりません。なぜなら、「今、急いでいるから」と後まわしにされたり、「後で聞くから」と先延ばしにされたり、「で、何が言いたいの?」と途中で遮られてしまう可能性があるからです。そして何より、長々とした話や、時系列の話、そして、要点がなかなか出てこないピンボケトークは、相手の貴重な時間を奪うもっとも失礼な行為だからです。

今回は、このような状況で最大限力を発揮する話し方、「エレベーターピッチ」をご紹介します。

●エレベーターピッチとはサバイバルトーク
「エレベーターピッチ」を直訳すると、「エレベーターが行先階に着くまでの間に強力に売り込む話し方」となります。「pitch」は投げるという意味で使われますが、「売り込む」という意味もあります。アメリカ人にとって、語呂が良いという理由でこの言葉が広く浸透されているようです。

ITのメッカ、サンフランシスコ周辺のシリコンバレーと呼ばれる地域では、起業家や開発者が、投資家に対するプレゼンテーションができる権利を得るための話し方として有名です。たった数十秒間ですべてが決まるのではなく、あくまでも次のプレゼンや会議に繋がるきっかけ作りです。
投資家が乗るエレベーターに、偶然を装いながら同乗し、行先階に着くまでの数十秒間に自分のプロジェクトを端的に魅力的に伝えます。この、たった数十秒間でさえも、それを千載一遇のチャンスととらえ、引き寄せられるかどうかは、話し方で決まるといっても過言ではありません。
ですから、シリコンバレーでは、「エレベーターピッチが出来ない人は、起業家として生き残れない」と言われるほどです。以上の理由から、「エレベーターピッチはサバイバルトーク」と言い換えても良いでしょう。

 

●1分間は長い
私たちはこれまで以上に時間に対する感覚がより敏感になっています。インスタントラーメンでさえも「3分待て」という時代から、「1分」になったかと思えば、「お湯を入れたらすぐにかきまぜて出来上がり」、といった具合に、感覚的にも高速化を求めています。
忙しいビジネスパーソンにとっても、「時間」は、最も貴重な資源です。当然、情報伝達も高速化が基本です。しかし、「話し方」はどうでしょうか。昔から相も変わらず、ノロノロ、ダラダラ、冗長、しかも要領を得ないピンボケトークを多く耳にしませんか。これは単純に、「短く伝える話し方」を誰からも教えてもらっておらず、生まれてからずっと我流を通していたからに他なりません。
15秒~30秒で伝わるコンパクトな話し方「エレベーターピッチ」は、今の時代にとてもマッチした話し方です。長いプレゼンテーションやスピーチでさえも、冒頭にこの15秒から30秒の短い話を入れるとグッとわかりやすい「伝わる話」に早変わりするのです。

 

●人の短期記憶にピタッとハマる
たとえば、留守番電話のメッセージ録音。約20秒前後の録音時間内に、あなたは相手に伝えるべき用件をきちんと残せているでしょうか。短期記憶の保持時間の実験結果を表した「ブラウンピーターソンのパラダイム」によると、人間の記憶力は15秒を過ぎたあたりから減少していくそうで、その時間が長ければ長いほど、記憶は薄れていくと言われています。そう考えると、留守番電話に残した短いメッセージですら相手の記憶に残っているか疑わしいところです。どんなに素晴らしいことを話しても、時間が長すぎるとその話は相手の記憶から忘却の一途をたどるだけなのです。

一生懸命話したのに、「で、何が言いたいの」「もっとわかりやすく話してよ」と言われる理由は、短い時間の中で重要な情報を盛り込めていなかったからなのです。