ビジネスで使える「文章力」を“文章を書かずに”鍛える方法とは?

文章力をつけたいなら、とにかくたくさん書きなさい。

あなたも一度くらい誰かに、そう言われたことがあるのではないでしょうか? たしかに、この言葉に間違いはありません。文章がうまくなりたいなら「たくさん書く」という方法は有効です。

一方で、書く以外に文章力を鍛える方法はないのか?という疑問が浮かぶ人もいるでしょう。この疑問に対する答えは「そんなことはありません」です。そう、文章力は書かずして鍛えることもできるのです。なかでも有効なのが「文章を意識的に読む」という方法です。

ふだん何気なく読み流している文章を、書き手の立場で「意識的に読む」だけで、文章力向上の効果が得られるのです。

 

●文章が目に飛び込んできたときがチャンス

「意識的に文章を読む」などと言われると、「面倒くさいなあ。本を読まなくてはいけないのかあ」とげんなりする人もいるかもしれませんが、文章を読む機会は「本」だけとは限りません。私たちが目にするすべての文章がその対象です。
【普段よく目にする文章】
■本
■新聞や雑誌
■仕事で使うビジネス文章(報告書、稟議書、企画書など)
■仕事で使うメール
■ウェブ上のニュース
■各種ホームページや販売サイト
■ブログやfacebooktwitterなど、SNS上にアップされる投稿
■電車の吊り広告
■街や駅などにあるさまざまな看板
■チラシやDM、冊子、カタログなど
■お店に置かれているPOP
■飲食店のメニュー
スマホに届くメールマガジン

 

ほかにも、意識する・しないにかかわらず、私たちは、日々たくさんの文章に触れています。何かしらの文章が目に飛び込んできたときこそがチャンス。その文章を「読み流す」か、それとも「意識的に読む」か。そのどちらを選ぶかによって、文章力向上の効果に大きな差が生まれます

 

●「意識的に読む」方法とは?

では、どんなことを意識して文章を読めばいいのでしょうか? 以下に、意識すべきポイントを挙げます。

1.誰に向けて書かれたか?
2.どんな目的で書かれたか?
3.何を伝えたかったか?(最重要メッセージは?)
4.読む人をどういう気持にさせようとしたか?
5.どういう展開になっているか?
6.言葉の選び方は適切か?
7.わかりやすく工夫されているか?
8.文章にムダはないか?
9.具体的な言葉を使っているか?
10.ストレスや不快感を感じないか?

 

●「意識して見る」はスキル体得の常套手段

プロの俳優であれば、映画やドラマを見るときに、他の役者がどういう芝居をしているのかを「意識的に見る」のではないでしょうか。プロ野球選手(キャッチャー)であれば、他の選手がマスクをかぶっているときに、どういう配球で投手をリードしているのかを「意識的に見る」のではないでしょうか。プロのシェフであれば、他のシェフがどのようなレシピや手順で作るのかを「意識して見る」のではないでしょうか。

自分以外の人を観察しながら身につける。あるいは、自分以外の人から盗みながら身につける。これはあらゆるジャンルに通じるスキル体得の常套手段です。もちろん、文章作成も例外ではありません。自分以外の誰かが書いた文章を「意識的に読む」だけで、その“勘どころ”をインストールすることができます。

もちろん、「ダメな文章」に出会ったときは、そのダメな原因を考えることが大切です。もし余裕があれば、「どうすれば、もっといい文章になるか?」まで考えてみましょう。さらにエクササイズ効果が得られます。

くり返しになりますが、文章を読むときは、ただ「読み流す」のではなく、「意識的に読む」ことを心がけましょう。私たちの身の回りには、多種多様な文章が存在します。すべての文章が(良くも悪くも)私たちの“師”にほかなりません。

 

https://next.rikunabi.com/journal/entry/20170110_M1

 

その“師”から何かを学んで文章巧者を目指すか、何も学ばず現状にとどまるか、選ぶのは私たち自身ですね。