部下が納得する叱り方③

部下が納得する叱り方②からの続きになります。

 

◎ステップ2:感情の共有-自分の本当の気持ちを伝える-

事態を把握できたら、次はそれに対して自分が何を思ったか、気持ちを伝えましょう。遅刻の例えでいうなら「事故でもあったのかと不安になった」といった自分の気持ちです。

ただ、怒りの感情が湧いた場合、そのまま気持ちを伝えてよいのかといえばそうではありません。伝えるのは本当の自分の感情や気持ちです。感情は二重構造でできています。怒りの感情は表に出やすいですが、根底にあるのは落胆で あったり、不安など別の感情なのです。そういった怒りの奥にある感情を伝えることで、建設的なコミュニケーションを取ることができるようになるでしょう。

◎ステップ3:望ましい行動の共有-具体的行動を示す-

こちら気持ちを伝えたところで、次は改善するべき具体的な行動を示します。遅刻の例えでいうなら「〇時に出社しよう」と、具体的に提示することです。

そこで注意したいのは、あまり抽象度の高い指摘をしないことです。叱るというのは意識改革ではなく、行動改善に意味があります。「もっと頑張れ!」など抽象的に伝えてしまうと、具体的にどう改善すべきか部下に伝わらず、行動の改善がされずまた同じことを繰り返すことになってしまいます。できるだけ具体的に改善するべきことを伝えましょう。

◎ステップ4:メリットの共有-最後は相手を快い状態に-

最後は励ましたり、褒めたりして相手の気持ちが『快・プラスの感情』になるようにしましょう。

人間の行動は感情の影響を受けています。快の感情のときは積極的に、不快の感情のときは消極的になるものです。そのため、「あなたが行動を改善することで、みんなから信頼されるよ」など励ましたり褒めたりして、感情をプラスにして終わるということがポイントです。

■叱るのは部下も上司も育つ機会

「叱る」という行為はただこちらの感情を伝えるのではなく、相手の可能性を広げるために細心の注意を持って行うコミュニケーションだと分かりました。

 

叱るというと相手を責める悪いイメージがありますが、叱らないということは相手の成長の可能性を閉じることになります。果たしてどちらが悪いことなのでしょうか? 

叱ることが苦手な方も、部下の可能性を広げるためのコミュニケーションだと前向きに捉えてください。教育は「共育」といわれるように、部下と一緒に上司も育つ機会です。

ぜひ皆さんも、部下も自分も育つような叱り方を実践してみてくだい。