インドで知っておくべきマナーやエチケットは?
過度に堅苦しく考えず、一般常識を守って礼儀正しくふるまえば、問題になることはほとんどないです。
インドには日本と異なる多様な文化があり、地域による違いも大きいです。では、各地域を移動するたび、その地の文化に基づいたマナーを身に付けなければいけないかというと、そこまで厳密に考える必要はないでしょう。
過度に堅苦しく考えてしまうと、せっかく社交の場に招かれたときも打ち解けることができません。上から見るような傲慢な態度を慎み、日本にいるとき同様に一般常識を守って礼儀正しくふるまえば、問題になることはほとんどないでしょう。
●あいさつ
相手に向かい、胸の前で両手を合わせて「ハロー」またはヒンディー語で「ナマステ」と言います。「ナマステ」も「ハロー」同様、「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」の意味で、一日中使えるあいさつです。
ヒンドゥー以外の文化圏に行った場合、また相手の母語が分かっている場合などは、それに合わせると喜ばれます。「こんにちは」を何というかは調べておくといいでしょう。
また、欧米のように握手もします。先方から求められたら、快く応じてください。親密になると、再会したときや長い別れになるときなど、男性同士でもハグをしたりもします。
名刺交換も盛んに行われます。大きなレセプションでは多くの人との交換になるので、大量に必要になります。出張では箱単位で用意しておくといいでしょう。
●食事
食事は右手で食べるのが基本です。ただ、ナンをちぎるときなど、地元の人のように右手だけではできません。そういう場面で左手を使っても、慣れない外国人は特段とがめられることもありません。あまり神経質にならず、日本の基本的なマナーを意識して行儀よく食べるようにすれば問題はないでしょう。
インドの人たちは右手だけを使って、実に器用に食べますが、指の第二関節以上は汚さないのがマナーだといいます。指の先だけを使うのが品のよい食べ方で、付け根や手のひらが汚れるようでは品が悪いということらしいです。
慣れないうちはうまくできませんから、遠慮せずにスプーンやナイフ、フォークを使ってください。相手に失礼になるということは特にありません。レストランでは必ず用意しているので、前もって置いていない場合でも、頼めば持ってきてくれます。
ちなみに、自宅に招待されたときは、日本と同じく手土産を持参するのが普通です。インドの都市では街角にフラワースタンドがありますから、そこで鮮やかな色の花束を手に入れるのがお勧めです。国産のバラなどが驚くほど安く買えます。
●公共の場でのマナー
インドでは「バーン」と呼ばれる噛みタバコが昔から好まれてきました。喫煙者もまだまだいますが、最近ではインテリ層は徐々に吸わなくなってきています。
公共の場はすべて禁煙で、違反すると200ルピーの罰金です。喫煙できる場所は、日本同様決められた場所か屋外、自宅くらいに限られます。ホテルや高級レストランでも、決められた場所以外はいっさい吸えないので注意してください。会社でも同様です。また、女性の喫煙にはかなり厳しい目が向けられ、男性でも目上の人の前ではあまり吸いません。
飲酒については、宗教上、禁じられているという人のほか、目上の人や親族の前では飲まない慣習もあります。会食やパーティーの際は、飲まない人の前で飲んでもマナー違反ではありませんが、酔っ払いには厳しいのでくれぐれも飲み過ぎには注意してください。
公共の場での携帯電話での通話はごく普通で、日本のように厳格ではありません。あまり気にしない人が多いので、まわりを見て合わせるようにすればいいでしょう。
地下鉄の駅のホームなどでは、順番待ちの列に割り込む人もいるので、間を開けないように体がくっつくくらいの状態で並んでいます。割り込みがルール違反だという認識は共有されているので、もしも入ってくる人がいれば遠慮せず注意することです。
●話題
インドの人たちは家族を中心とした暮らしをしていますから、会話の中でも家族の話が多く出てきます。「ウチはこうだけど、そちらはどう?」という自然な流れで質問を向けられますが、特に詮索してやろうと考えてのことではありません。立ち入ったことを聞くとか、プライバシーの侵害といった感覚はないので、身構えずに大らかに受け止めましょう。
インドでは、家族の話がコミュニケーションの潤滑油。こちらも積極的に家族の話をしたり、写真を見せたりすることで、相手と早く打ち解けることができます。