あと10年で使えなくなる!?固定電話の持続について

会社で使ってる電話、自宅にあるFAX付きの電話…使う機会が減ってきていても、便利なものですよね。
しかし今、固定電話サービスを維持する設備があと10年ほどで使えなくなることに注目が集まっています。

■古くなった設備を新しく出来ない
限界を迎えるのは、電話同士をつなぐ「交換機」。

電話交換機(でんわこうかんき)とは、電話回線を相互接続し電話網を構成するための交換機である。2000年代に入り、VoIPへの置き換えが開始されたため、日本ではNTTなど電気通信事業者(キャリア)向けの電話交換機はほとんど製造されておらず、事務所や工場などの内線電話用(自営設備)の構内交換機が製造されている。

Wikipedia ーより引用
電話網の要となる交換機はすでに製造が停止されていて、現存機器の寿命は長くてもあと10年ほど。どんなに頑張っても2025年が限界なのだとか。

携帯電話やスマートフォンの普及により、固定電話を使用する人がどんどん減少している今、収支の面でも苦しい状況が続いています。

2014年にリサーチバンクが行った調査によると、20代では固定電話の導入は58%程度と利用率が低く(IP電話を除けば40%程度)、若年層に固定電話はあまり使われていない状況がわかります。

一方で、60歳以上の98%は固定電話を導入していますが、固定電話を利用している人のうち52%は「携帯電話をより多く使う」と回答しているなど、所持していても利用している人は少ないようです。

鳥取県の60代女性は、少し前だと固定電話は信頼性が強かったけど、最近の若い人達(結婚した娘も含む)は携帯で十分だと言っていて、実際不自由は感じない。

リサーチバンク 固定電話に関する調査 ーより引用
と語っていることからも、携帯電話が普及したために固定電話の必要性を特に感じていない人が増加しています。

日本の通信事業最大手であるNTTも、この事態に頭を悩ませているようです。
NTTでは、これまでの固定電話の機能をインターネット回線を利用するIP電話に移行する計画を立てているものの、その実現に向けては解決すべき課題も多くあるのです。

 

多額の費用がかかることも課題のひとつですが、緊急通報や公衆電話には単純に引き継げない機能があることや、NTTと国との間で決められている「ユニバーサルサービス制度」があります。

電話のユニバーサルサービスとは、日本全国で提供されている加入電話、公衆電話、緊急通報(110番・118番・119番)の電話サービスです。 電話会社約30社が協力して必要な費用を負担する「ユニバーサルサービス制度」が平成18年度にスタートしました。 なお、平成23年4月の改正により、加入電話に相当する光IP電話についても新たにユニバーサルサービスの対象となりました。

ユニバーサルサービス支援業務 ーより引用
つまり、NTTはどんなに大きな赤字が出ていても、勝手に固定電話サービスを終了することが出来ないという取り決めがあるのです。

このことについては、NTT社内でも否定的な意見が出ているようで「固定の音声に対するニーズが低下している中、本当に続けていくべきなのか」と言う人や「日本だけまたガラパゴスを作っても仕方がない」と主張する人もいるそう。

小林充佳常務は 「携帯電話の爆発的な拡大、インターネットを経由した無料通話により、固定電話が使われる機会は少なくなり、流す情報量も激減。収支的にも大変苦しくなってきている」と説明。「ユニバーサルサービス議論と合わせてPSTNをどうするかを検討していきたい」と語った。

一方で、災害時には固定電話が圧倒的に高い信頼性を誇っていました。
東日本大震災時には、ほとんどの携帯電話が使えなくなっているのを横目に、固定電話やPHSはつながりやすいという状況が続きました。

携帯電話キャリア各社は「災害用伝言サービス」などを用意していますが、それでも一気にアクセスが集中してしまえば「つながらない」という事態が発生。

一方で、アナログ回線の固定電話は常に線で交換機とつながっているため、安定して利用することが出来ました。
もしもの時のことを考えたら、簡単にアナログ回線の電話サービスを取りやめることが出来ないのは、当然のことなのですね。

では、アナログ回線とIP電話の違いはどれくらいあるのでしょうか?

大きく分けると、以下のような違いがあります。

【アナログ回線】
電話線そのものから電源が供給されている
音声を拾うのは、電話機内にある振動板
振動板が拾った情報をそのまま電話局に送れる

IP電話
電源は各家庭の電源から確保
データはパケット化されて通信している
電源がなければ通話出来ない
簡単に言えば、アナログ回線は電話線だけあれば通話可能で、IP電話は電源がなければ通話出来ないということです。

電話線さえつながっていれば通話できるアナログ回線と、停電しただけでも通話できなくなるIP電話。両方とも便利な部分・不便な部分がありますから、どちらを選ぶのかは個人の判断次第。

https://grapee.jp/80099


今後、アナログ回線の電話サービスがどうなっていくのか、注目していきたいですね。