なぜか起こる「ゴール直前の失速」に対応する

●ゴール前、なぜに失速?

ゴールまであと一歩になって、部下の行動に妙な停滞感を感じたことはありませんか?

例えば、
・あと一件で月間ゴール達成なのに、急に動きが鈍くなった


・いい感じで練ってきた企画なのに、最終案が上がってこない


・完成直前になって、やはり違う方法を試してみたいと言い出す

 

上司にしてみれば、「あと少しなんだから早く達成して欲しい」と思いますが、実はこの失速、珍しいことではありません。
振り返ってみると、実は自分もそうした失速を経験したことはあるのではないでしょうか? 実際に100メートル走などでも、ゴール直前で多くの人が失速するのだそうです。
では、ゴールまでトップスピードで走りきるには何が必要なのか。今回はそのアプローチを検討してみましょう。

 

●ステップ1:何がブレーキになっているのかを突き止める

・あと少しという安心


・成功する事への恐れ(実は失敗と同様、人は成功も怖いのです)


・そのプロジェクトや案件に対する執着もしくは熱意


・そのプロジェクトや案件に飽きている
など、停滞の背景にはさまざまなブレーキがあります。


まずは、停滞の理由が何なのかを上司であるあなた自身だけでなく、本人も知る必要があります。
そこで、次のような声がけをし、その理由を一緒に突き止めることから始めます。
まずはここまでの成果や行動をねぎらったり、承認する
その上で最近の進捗に停滞を感じていることを率直に伝える
その理由や必要なサポートについて一緒に話し合う

この際、例えば「せっかくなのでさらに質を上げたい」など、歓迎すべき理由もあることを意識しておきましょう。時にはスピードより、質やプロセスを重視する決断を行うこともあるかもしれません。

 

●ステップ2:スピードアップさせる関わり
二人で話し合った結果、やはりスピードアップしたほうがよいという結論に達したなら、例えば、次のようなアプローチを試してみましょう。

・ゴールのその先を見る
こんな実験があります。子どもたちに「5円玉を机の上に立ててごらん」というと実際に立てられる子は少ないのですが、「5円玉を机の上に立てて、穴に楊枝を通してごらん」というとほとんどの子が立てることができるのだそうです。
つまり、ゴールの先のゴールが見えていると、より軽やかにゴールを達成できるのです。
①このゴールを達成したら、次はどのようなゴールを目指すのか
②このゴールを達成することで、未来の自分にどのようなインパクトがあるのか
などを話し合うことで、目の前のゴールを走り抜ける勢いをつけることが出来ます。
なんとなくゴール達成を躊躇している場合などにこのアプローチは有効です。

 

・ヴィジョンを描き直す
ゴールやプロジェクト自体への熱意や興味が下がってきている場合には、もう一度ヴィジョンを一緒に描き直してみて下さい。
①このゴールを達成したとき、自分にはどのような成長や変化があるのか
②ゴール達成によって、チームや組織、他のメンバーや顧客にどのようなインパクトを与えることができるのか
③自分のキャリアやスキルアップにおいて、どのような意味や意義があるか
④当初、どのような気持ちでこのプロジェクトに取り組んだか
などを話し合うことで、行動のエネルギーが沸いてくるはずです。

 

・未完了を一緒に完了させる
ゴール達成、つまりそのプロジェクトを完了させるにあたって、それまで後回しにしてきたことが未完了となっている場合はあります。
例えば、
①協力を要請しなくてはいけない部署の担当者が実は苦手
②面倒な事務処理や書類の整理を後回しにしていい
③実は未決のままにしている事項がある
などです。
達成(=完了)にあたって、こうした未完了と向き合わなくていけなくなります。しかし、未完了は一人で取り組むにはなかなか気が重いもの。一緒に取り組む人がいることで軽やかに完了させることができます。


さて、ここでお伝えしたのは、あくまでも停滞を打破するための一般的な方法の一部です。この他にも、話し合いの中で部下から具体的なサポートの依頼や提案があり、あなたもそれを効果的だと判断するならそれも実行してみてください。

 

●常に忘れてはならないこと
最後に常に意識して欲しいことを1つ。それは相手のここまでの前進に敬意を払うことです。

全てのプロセスを通して
・相手の行動、成長、成果を承認する気持ち
・そして、それを言葉にすること
を忘れないでください。

それなしにスピードアップさせようと関わると、相手は
・尻をたたかれている
・馬車馬のように働かされるのではないか
・私はダメだ
と思ってしまいます。

同時に相手の「前進」に目を向けることで、相手の「前進のパターン」、そしてその前進を阻む「障害のパターン」が何よりよく見えてくるようになります。

 

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相手のことを知ることからはじめます。