9 ストレスがかかっているときは、ストレスを感じない。

異変は、ある日、突然やってきました。

私は大きな仕事を抱えてきて、数カ月間にわたる仕事の区切りをようやくつけた木曜の午前。

急に、体がどんと重くのしかかりました。

「なんだ。急に体中が重くなったぞ」
地球の重力が変わったかのように、体中が重く感じられました。

その直後から、だるさ、寒気、発熱などの症状が少し出始めました。

瞬く間に悪化し、数時間後の定時あたりにはまともに歩けないほどになっていました。

歩けないため、その日はタクシーで帰りました。

家に帰って熱を測ると、なんと「39.7度」という高熱。

それだけでも苦しいというのに、極めつけは「強烈な頭痛」です。

針が何本も刺さったかのようなひどい痛みを伴う頭痛に襲われて、あらゆる「踏ん張る」という動作を自発的にできなくなりました。

くしゃみが出そうになるたびに死にそうになりますし、面白いことがあっても笑うことができません。

トイレに行ってうんこをするときも、踏ん張るときに頭痛がして踏ん張れません。

「頭痛がひどすぎて踏ん張ることすらできない。このままうんこができなくて死ぬのか……」
つい、笑いそうになると、また頭痛のため「いてて」となります。

笑うに笑えない、というおかしな状況です。

急に高熱という症状が現れたため「もしや、インフルエンザではないか」と疑いました。

もちろん翌日は仕事を休み、近所の医療機関で診察してもらいました。

検査の結果、とりあえずインフルエンザではないということで、ほっと一安心。

 

しかし、不思議なことはそれからです。

喉の痛みも鼻水もないので、風邪でもないようです。

「インフルエンザではありませんが、風邪でもないようですよ」
そう医者に言われて、私の仕事の内容や生活の状況など話し合った結果「ストレスが原因かもしれない」という結論に達しました。

「こうなるくらいだったら、普段からまめに休んでおくべきだったな」
ストレスとは本当に怖いと痛感した一件でした。

自分が経験して、1つ分かったことがあります。

意外な事実です。

「ストレスがかかっているときは、ストレスを感じない」という意外な事実です。

「むしろストレスをよく感じるのでは」と思う人もいることでしょう。

なぜでしょうか。

ストレスを感じるほど、心理的に余裕がないためです。

仕事の処理、人間関係、スケジュールなどが多忙を極めているときには、なぜかストレスを感じません。

そういうことを感じる暇すらないのです。

 

たとえば、あなたが全速力で100メートルを走っている「最中」は、疲れを感じることはないはずです。

ただひたすら走ることのみに集中。

疲れを感じるのは、走り終わった後です。

ゴールを切って少し余裕ができたときに、疲れが体中に出て急にだるくなり、歩くのさえ大変になります。

あの感覚に似ています。

今までため込んだものが、特大の大波で急に押し寄せてきます。

多忙を極めている真っ最中は、大きなストレスを感じているにもかかわらず感じにくい。

私は仕事中「疲れていないからまだまだ大丈夫」と思って、ろくに休んでいませんでした。

むしろ仕事に拍車をかけていた。

 

しかし、実際のところは感じていないだけで、かなりストレスをため込んでいたのでした。

昔、ある人から「有給は疲れてから取るのではなく、疲れる前に取ったほうがいいよ」とアドバイスをいただいたこともあります。

実際に自分がそういうつらい目に苦しんだ経験をすると、認識が180度変わります。

「まさにそのとおりだ」と合点しました。

それ以来、定期的に有給休暇を取るようにしました。

疲れを感じている、いないにかかわらず、定期的に取るようにしています。

疲れてから休むのではなく、疲れていなくても定期的に休み、気分転換を心がけるようにしました。

疲れていなくても、有給消化です。

気分転換、遊び、リフレッシュ、ストレス発散のために、定期的かつ積極的に取るほうがいい。

そういうことを痛感した事件でした。

まとめ
社内ビジネスマナーの基本 その9
疲れていなくても、有給は定期的に消化する。