「オンリーワン」にだまされるな!

「オンリーワン」という言葉は人々を勇気付けてくれます。しかし、一方で人々を現実から目を逸らさせる麻薬にもなります。「ナンバーワン」と「オンリーワン」は対立するのでしょうか? 本当の「オンリーワン」になる方法を探ります。

 

●オンリーワンを目指して、競争を放棄する人たち

「自分はトップになれなくてもいいんです。自分は自分ですから」
激しさを増す競争社会の現実の一方で、競争に背を向ける人たちも増えています。そんな人たちのバックボーンになっているのが、「オンリーワン」という考え。
人を花にたとえて、「一人ひとりはもともと特別なオンリーワンだから、ナンバーワンにならなくていいよ」とSMAPが歌った「世界に一つだけの花」は、大ヒットし、今も歌い継がれています。
確かに人間一人ひとりはユニークで、価値ある存在です。ナンバーワンになることだけを目指し、相手を蹴落としながら競争しても、その価値は生かされません。「オンリーワン」という言葉で、ホッと一息をつき、救われた人も多いでしょう。
しかし、「自分はオンリーワンですから」「もともと素晴らしい存在なんですから」といって、何かに向けての努力を放棄している人も見られます。
競争することは意味がないのでしょうか? ナンバーワンを目指すことは不要なのでしょうか?

 

●オンリーワンは努力の結果、発見するもの

「自分の中に眠っているオンリーワンを発見するには、いったんナンバーワンを目指す必要がある」
株式会社エデュケーションの西田徹・代表取締役は、その著書『最高の自分になる 6つの力』(中経出版)でこう語っています。相反するものとして語られがちな「ナンバーワン」と「オンリーワン」ですが、どちらも必要なものとして考えられています。
オンリーワンを発見するために、他人とも競争する世界でナンバーワンを目指して自分を磨く必要があります。ナンバーワン、目標達成に向けて、あえて自分にとって辛いことや厳しいことも課していくのです。しかし、ここで忘れてはならないのは、ナンバーワンや目標が最終目的ではないことです。
「ナンバーワンは、最終的な目的ではなく手段であり、そこに到達するプロセスを経験した自分自身こそが「オンリーワン」なのです。」
(『最高の自分になる 6つの力』より)
上司はついつい、売上目標をはじめとする「ナンバーワン」の部分に焦点が当てがちです。確かにそれも大事ですが、部下の「オンリーワン」の部分にどれだけ焦点を当てているでしょうか?

 

●相手の二つの「主題」をとらえる

上司であるあなたに、部下が「今期の売上目標が達成できないんです。」と相談してきたとしましょう。部下が直面している課題は「今期の売上目標を達成する。そのための対策を考える」ことです。
多くの上司は売上目標を達成するためのアイデアを伝えたり、こういった状況になってしまった原因を追求したりするでしょう。これが間違っているわけではありませんが、これは「ナンバーワン」の部分にすぎません。「オンリーワン」の部分はどこにあるのでしょう?
コーチングの流派の一つであるコーアクティブ・コーチング(TM)では、コーチングで扱う主題には二つあり、コーチングにおいて両方の主題に焦点を当てることが重要であると考えています。
一つは、相手が直面している課題や悩みといった「小さな主題」。今のケースでいえば「今期の売上目標を達成する。そのための対策を考える」が、「小さな主題」です。

もう一つが「大きな主題」。これは相手の人間としての成長や、人生をどう生きるかにかかわるものです。相手が本来の姿で生き生きとダイナミックに味わい深い人生を生きていくための入口・機会として「小さな主題」をとらえることで、「大きな主題」が見えてきます。
今のケースで言えば、相手が今の仕事を通じて大切にしている価値観をとらえ、よりその価値観を尊重して生きることかもしれません。また、相手が知らず知らずに持っていた思い込みや枠に気づき、より自由に考え行動して生きることが「大きな主題」になることもあるでしょう。さらには、相手が直面せずに避けていたことに気づき、あえて直面して受け入れていくことかもしれません。

 

●「ナンバーワンのオンリーワン」を生きよう!

上司は「小さな主題」だけでなく、そこから部下の「大きな主題」にも焦点を当てていくことで、部下の「オンリーワン」を引き出すことができ、またそれが部下の「ナンバーワン」をサポートすることにもなるのです。
逆の場合も考えられます。「こいつはダメだから」と部下の可能性を諦めていた上司であれば、小さくてもいいので何か具体的な目標をお互いに話し合って設定し、その目標達成(「小さな主題」・「ナンバーワン」)を部下が目指すなかで、その成長(「大きな主題」・「オンリーワン」)を促し、見ていきましょう。

ナンバーワンを目指すことと、オンリーワンを発見し、生きることは同時にありえるものです。常に両方に焦点を当てることによって、その人が目指すナンバーワンの目標はその人なりの「オンリーワン」になっていきます。また、その人が発見しオンリーワンとして生きる自分自身は、よりユニークで尖がった「ナンバーワン」になっていきます。

上司であるあなた自身が「オンリーワンのナンバーワン」・「ナンバーワンのオンリーワン」を生き、部下の「オンリーワンのナンバーワン」・「ナンバーワンのオンリーワン」もサポートしていきましょう!


https://allabout.co.jp/gm/gc/291801/2/


深いですね。ナンバーワンのオンリーワンを目指します。