間違いやすい敬語⑤

シーン5:「丁寧に伝えたい時」に間違いやすい敬語

 

×~させていただいております

この表現はよく使われますが、場合によってはおかしな表現になるため、特に注意が必要です。例えば、もし自分が「値上げさせていただいております」という言い方をされたら、思わずムッとしないでしょうか。「~させていただく」とは、本来、「相手の許可が必要な時」や「相手にいい影響を及ぼす場合」に使う、自分を一段下げる謙遜の表現です。謙遜するのが適切ではない場面においては、「~しております」でよいのです。

×とんでもございません

この言い回しはかなり定着していますが、厳密に言えば、これも誤った敬語表現です。実は、「とんでもない」で一つの単語であり、単語の一部分だけを敬語表現にするのは間違いです。正しくは、「いいえ、とんでもないことです」となります(ただし、「とんでもございません」は、慣用的な表現として容認してもよいとする国語学者もいます。)

×拝見いたしました、させていただきます

「拝見」は「見る」の謙譲語。「いたす」「いただく」も謙譲語なので、二重敬語になってしまいます。この場合は「拝見します」「拝見しました」でよいでしょう。

×~になります

「~になります」というのは、基本的に、物が変化していく様子を表す言い方で、敬語ではありません。「~に成る」という場合以外は、使わない方がいいでしょう。

×◯◯は本日お休みをいただいております

ついつい使ってしまいがちな表現ですが、休みは会社からもらうものなので、「お休みをいただく」だと自分の会社に対して敬意を払うことになってしまいます。お客様に向けて言う場合は「〇〇は本日休みを取っております」「休暇を取っております」の方が適切です。