桜はなぜソメイヨシノが多いの?

さくら、さくらと言っていますが、桜はバラ科サクラ属の植物のうち、ウメ、モモ、アンズなどを除いたものの総称です。実に600種以上の品種があり、日本人に古くから親しまれています。

春に、いわゆるさくら色というピンクの花を咲かせますが、品種によって白色、淡紅色、濃紅色と微妙に違った色合いが楽しまれています。

観賞用のほかにも、果実はサクランボで人気のある果物ですし、葉の塩漬けは桜茶や餅菓子の包みなど、食品としてもよく利用されている植物です。

最も馴染み深い花ということで、法的に決められたものではないのですが、国の花としても認識されており、警察や自衛隊などの紋章、百円硬貨のデザインにも使われています。

花見で鑑賞される品種は、ソメイヨシノ染井吉野吉野桜)が一般的です。
花見の目安として発表される「桜前線」もソメイヨシノの開花を基準にしています。
ソメイヨシノは、江戸末期に開発された園芸品種で、明治時代に全国各地に広まり観賞用サクラの代表種として定着しました。

一般的な花、たとえばチューリップやタンポポ、百合などを思い浮かべてみてください。ふつうは、葉が成長するとともにつぼみがふくらみ開花します。ですから街中で見かける花は、緑の中にある色とりどりの花びらが鮮やかな印象を残すのではないでしょうか。

それに対してソメイヨシノは、葉が出る前に花が開きます。満開時には花だけが密生して樹体全体を覆うため、より華やかに派手に見えるのです。

開花期は関東地方で3月末から4月上旬ごろ。2週間ほどで、花びらは落ち、葉の成長が著しくなります。いわゆる「葉桜」という時期です。

残念ながら、ソメイヨシノは寿命が短いという大きな欠点があります。他の品種であるヤマザクラエドヒガンは、数百年もの古木になることがありますが、ソメイヨシノの寿命は約60年です。

園芸品種として成長が早い分老化も早い、街の汚染空気によって傷みが多いなど様々な理由が考えられ、実際、全国の公園では、多くのソメイヨシノが寿命を迎えているのだそうです。

 

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