職場のコミュニケーションを復活させる術!

●職場のコミュニケーションが希薄化しているわけ

 ご近所や親戚などの義理付き合いは、最近かなり希薄になってきましたね。しかし、それだけでなく、最近では職場の人間関係も希薄になりつつあるようです。
その背景には、個人プレーのワーキングスタイルの増加があります。そして、これが職場のコミュニケーション不足と働く人の心の負担に結びついています。
社会経済生産性本部 メンタルヘルス研究所が上場企業2,150社に対して行った調査(2006年 有効回答数218社、回収率10.1%)によると、7割近くの企業において「個人」で仕事をする機会が増え、約6割の企業で職場のコミュニケーションが減り、5割近くの企業で職場の助け合いが少なくなった、ということが分かりました。また、職場でのコミュニケーションの機会が減った企業で、心の病が増加した割合は7割以上にものぼっています。
個人で進める仕事は、たしかに気楽です。しかし、実績は評価されるが、気軽に相談できる先輩や上司がいない、つらい状況を理解し、サポートしあえる仲間がいない、など不安要因も多いものです。職場の人間関係は濃密になると煩わしいものですが、少なくなりすぎると孤立感を深め、働く意義を見出しにくくなります。


●社員旅行が復活した背景にあるのは?

 こうした状況の中、社内のコミュニケーションを増やす機会が重視されてきています。OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)や勉強会だけでなく、業務以外の時間を共有することで、気持ちの交流を図ろうという取り組みです。
そのひとつに、90年代のバブル崩壊とともに消えた「社員旅行」の復活があります。社員旅行というと、お偉方ばかりが楽しく、若手社員や女性社員には苦痛でしかない日本企業の悪慣習と捉える人も多いでしょう。
しかし、最近ではお仕着せの旅行ではなく、社員がアイデアを出し合って企画を立て、自由度の高い社員旅行が増えてきています(現地集合、現地解散、家族連れOK、所定時間以外の団体行動はなし、など)。
社員旅行だけでなく、家族も招いた新年会、社員の誕生日会など、ユニークな社内行事を行う会社もあります。このように社員が楽しめる行事が増えているのは、成果主義だけでは働く動機や意欲を増進しにくいという背景があるからでしょう。
働く動機や目的を確認しあうには、社員同士の胸襟を開いたコミュニケーションが必要になります。それも、会社員というペルソナを外した一人の人間としての交流です。
しかし、コミュニケーションは、会社任せばかりでは成り立ちません。社員各人がコミュニケーションへの苦手意識を克服することも、また大切です。

 

【ポイント】
●人間関係にも生かせる「80対20の法則」

・全所得の8割は、人口の2割によってもたらされている
・売り上げの8割は2割の製品、顧客、従業員によって生み出されている
・成果の8割は、費やした時間の2割で生み出されている
このように、経済においては成果の8割は2割の要因によってもたらされるという経験則があり、これを「80対20の法則」といいます。この説を読み解くと、全体の2割への働きかけが成功すれば、全体の8割の成果につながる、ということになります。そして、人間関係に応用すると、

・2割の人とよい人間関係が築かれれば、8割の人ともうまくいくように感じる
・2割の人と意思疎通ができれば、8割の人ともうまくやっていけるように思える

という仮説が立てられます。
「誰とでも愛想良く付き合わなければ」と思うから、職場での人間関係が面倒に思えてしまうものです。しかし、まずは自分の周りの少数の人と、よい人間関係が築いてみること。それができれば、ほとんどの人ともうまくやっていける、と考えると気が楽になります。
ただし、2割との関係だけに固執し、8割の人は無視していい、ということではありません。たとえば、8割の売り上げが2割の顧客によってもたらされるからといって、ほかの客は無視してその顧客だけに集中して営業すれば、安定した業績が築かれるか、といえばそう簡単にはいきませんよね。
特定の関係に固執すると、依存的、排他的、傲慢になりやすくなり、リスクも高いものです。ほかの8割の人にも、常にオープンマインドで接していこうとする態度が大切です。

 

●コミュニケーション下手を克服する3つのポイント

 コミュニケーションが苦手な人は、会話でのちょっとした心がけを意識するだけで、人付き合いをぐんと楽に感じます。最初は、大変に思えるかもしれませんが、毎日続けていくことで、コミュニケーションは確実に上達していきます。会話においては、まず以下の3ポイントを実践してみましょう。


①顔を見て自分から挨拶してみる
「会話が苦手」「なるべく人と話したくない」という人でも、心配ご無用。基本的な挨拶さえスムーズにできれば、コミュニケーションの半分近くは成功できます。朝出社したら、ぜひ自分からはっきりした口調で「おはようございます」と言ってみましょう。ポイントは、相手の顔を見て言うこと。また、親しい人だけでなく、交流のある人にはすべて挨拶しましょう。

 

② 慣れてきたら「1往復半の挨拶」

1の挨拶に慣れてきたら、「1往復半の挨拶」を実践しましょう。たとえば朝、「おはようございます」を互いに言いあったら、それに続く言葉を自分から投げかけます。話題は、「寒くなってきましたね」「雨だと大変ですね」など、天候の話題で十分です。
ただし、「月曜の朝はうんざりしますよね」など、ネガティブな言葉はタブーです。相手の心が少しほぐれるような話題を意識しましょう。天候の話題以外なら、「朝、梅の花が咲いているのを見ましたよ」「駅前に新しいラーメン屋さんができましたね」など、身近な話題がいいでしょう。

 

③「?」と思ったら、すぐに聞き返す
疑問に思ったことはあいまいにしておかないのが、ポイントです。「あれ?」「それってどういう意味だろう?」と思ったら、「どういうことですか?」「もっと詳しく教えてもらえませんか?」と、その場ですぐに聞き返しましょう。
疑問をあいまいにしておくと、お互いの意図や気持ちの誤解につながりやすくなります。特に、相手が年長だったり、逆に若すぎたりすると、異世代間の精神的ギャップから疑問をあいまいにしがちです。しかし、コミュニケーションを深めるには、「質問力」も大事です。


https://allabout.co.jp/gm/gc/299135/2/

 

質問力を鍛えます。