ドイツのビジネスマナー⑥

「目的」へ向かう方法は個人の自由

日本では、よく「報(ホウ)・連(レン)・相(ソウ)」と言われるように、どのような業務でも報告、連絡、相談をしながら進めるのが基本ですよね。一方、ドイツ人の考え方は、課題と期限を与えられたら、あとはどのようなやり方で仕事を進めても良いというものなのです。「○月○日までにリポートを提出する」「売上を○○ユーロまで伸ばす」といった“Ziel=目的”が明確に定められたら、そこへ向かう過程は個人の自由。要は結果を出せば良いのです。実はここが、一番誤解を招きやすいポイントでもあります。  

日本人の上司にしてみれば、報告がないことを不満に思うことがあるかもしれません。逆に、ドイツ人の上司を持つ日本人の場合、課題と期限を指示されたら、当然それを遂行するための相談やミーティングの時間があるのだろうと考えますが、上司は何も言って来ず、いざ期限当日になってみたら何もできていなかったという事態になりかねません。  

また、残業に対する姿勢も違います。上司が残っている限り帰れないというような、日本人が持つ感覚はドイツ人にはなく、定時になれば帰ります。もちろん、やることが多いために残業をする人もいますが、それは次の日までに片付けておかなければ自分が困るからであって、会社や上司のためではありません。仕事は会社のためではなく、自分のためにするものという意識が根底にあるのです。日本人が仕事80%、プライベート20%の感覚でいるとすれば、ドイツ人の場合はそれぞれ50%というわけではなく、双方100%。ですから、仕事さえきちんとこなしていれば、定時で帰るのは当然のことなのです。一方、日本では残業をすることがモチベーションの表れと捉える風潮がありますよね。

これら仕事に対する価値観の違いを、仕事を始める段階でお互いに認識しておかなければ、コミュニケーションは成り立ちません。


http://www.newsdigest.de/newsde/features/5822-business-manner-and-communication.html