インドの人と円滑に仕事をするには?

仕事の指示は、基本の「5W1H」を押さえ、できる限り明確に!

 

昔から「郷に入っては郷に従え」というように、インドで日本の手法は通じません。言語も文化も異なるので、「推して知るべし」とはいかず、考えていることの3割くらいしか伝わらないと思った方がいいでしょう。

社内の従業員に指示を出すときも、「日ごろから見ているから分かるだろう」という前提に立つのは間違いのもとです。インドの仕事へのアプローチはアメリカ的で、明確に指示されたことのみをやります。たとえば、10の指示のうち2がやや曖昧だった場合。日本では上司の意図を正確に読み取り、将来まで見通して付加価値を生み出すことが評価されるため、自分なりに考えて10プラスαまでやろうとします。

一方、インドでは不明確な点があると、指示されたとは受け止めません。8まで実行し、それ以上は自分の守備範囲を超えた、手をつけてはいけない領域と考えます。これを承知しておかないと、互いに理解に苦しみ、トラブルが続出し、不信感を募らせることになります。

仕事の指示は、基本の「5W1H」を押さえ、できる限り明確にします。いつ誰がどこで何をするのか、何のためにどのようにするのか。当然と思っても説明、説明です。最終的に本人のキャリアアップにつながることが伝われば、意欲も効率も向上するでしょう。

「2C、2T、2P」を意識

インドでのビジネスで常に意識しておきたいのが、「2C(Continuity/継続性、Consistency/一貫性)、2T(Transparency/透明性、Timing/タイミング)、2P(Predictability/予見性、Patience/忍耐)」です。

2Cは、こちらの意図、求める形を明確に提示して、相手から継続的に一貫したものを得るということです。たとえば、インドでは調査リポートを出すようにいうと、言葉で表現しようとしがちです。分かりやすいようにチャートにしてくれと指示すると、そのときは作成しますが、次回はまた言葉での説明に戻ってしまいます。この場合は、リポートのひな型を用意し、それに基づいて作成するよう指示するしかありません。常にそれを使うように指示し、望むものが継続して得られるようにすることです。

2Tの最初のTは、徹底した透明性です。「それはできない」と言われたら、その根拠を明らかにするよう求めます。これは取引先との交渉でも頭に刻んでおきたい点です。不可能なのは法律の規定からなのか、単に条件が厳しいからなのか、明確にしてもらう必要があります。言われるまま鵜呑みにしていては話が進みません。

もう一つのTは、時宜を逸しては良い仕事も意味がないということです。インド流の積み上げ式で作業をしていると、納期を過ぎることが多々あります。会議に使うリポートは会議の前に必要ですし、外部からの納品も大幅に遅れて支払いを求められては困ります。

そこで大きな課題となるのがPです。予見できる仕事の進め方が身に付くようにするのです。積み上げ式ではなく、先を見越し、ゴールを見据えたうえで、どういう手順でどう作業を進めていくかを事前に入念に練るアプローチです。

従業員に対しては、忍耐強く説明を重ね、どうしてその方が良いのか、そうする必要があるのかを納得させるしかありません。これがもう一つのP(忍耐)です。辛抱強く、相手が根負けしてこちらの話に合わせてくるくらい〝Never give up.〞の精神で臨みます。「これは問題だから、こう直せ」と強制しても、やがて元に戻るだけで、継続して一貫性が得られません。自ら納得し、改善すべきと気付くように工夫すると、進んで修正し、身に付きます。仕事の進行状況はこまめにチェックし、「2C、2T、2P」が得られるようにしましょう。外部への発注は、納期を過ぎると支払いがどうなるかなど、契約書に細かく盛り込んでおくことです。

 

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