自転車保険が義務化された地域とその内容について(その1)

日常生活における「足」として多くの人が利用している自転車。

大人から子どもまで気軽に乗ることができて便利な反面、それなりにスピードも出て一歩間違えれば非常に危険な乗り物にもなってしまいます。

近年、自転車の事故でも重大な結果に結びついたり、莫大な損害賠償費用を請求されたりといったケースが報道され、自転車事故の危険性などが知られるようになってきました。

何も保険に入っていなければ、高額な賠償費用を払うことができないかもしれません。そこで自転車事故を起こした際に、被害者への賠償を確実なものとするために、自転車保険への加入を条例で義務付ける動きが広がりつつあります。

この記事では、その自転車保険について義務化されている地域と、義務化の中身について説明していきます。


現在自転車の保険加入が義務付けられているのは、兵庫県全域と大阪府全域です。
また、平成28年10月1日より滋賀県が同様の条例を施行する予定になりますので、施行日以降は滋賀県全域も対象なります。
今後も同じような条例が他の自治体でも制定されて、自転車の保険加入義務化の動きは広まっていく可能性はあるでしょう。


■義務化の内容について

次に自転車保険の義務化の内容について詳しく見ていきます。

もしかすると、「次に新しい自転車を購入する時からでいいのでは?」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうではありません。

義務化の具体的な中身については、以下の3つの項目に分けてそれぞれ説明していきます。

■対象者

自転車の保険に加入する義務がある人は、大阪府内または兵庫県内で自転車を利用する人全てです。
条例では、具体的に以下が規定されています。

■自転車利用者
大阪府内または兵庫県内で自転車を利用する人全てに保険加入義務があります。
他府県に住民票があるとか、条例施行前に購入した自転車であるなどといった事情は、一切関係ありません。
つまり、お住いの地域や、新車、中古車、現在所有している自転車にかかわらず、大阪府兵庫県で自転車に乗る場合は、保険に加入する義務があります。

■未成年者の保護者
未成年者の保護者は、監護する未成年者が大阪府内または兵庫県内で自転車に乗る場合、保険に加入している状態にする義務があります。
ざっくり言えば、お子さんが大阪府内または兵庫県内で自転車に乗る場合は、親御さんはお子さんを自転車保険に加入させる義務があるということです。

■事業者(兵庫県のみ)
兵庫県内を業務で自転車を利用する事業者は、業務中の利用でもカバーできる保険に加入する義務があります。
事業者についての規定があるのは、業務で自転車を利用している場合、一般的に個人で入っている保険の適用ができないからです。
なお、大阪府の条例では、事業者の保険加入は努力義務になっています。


■保険の内容
では、どのような保険に加入する必要があるかというと、
自転車損害賠償保険等(自転車で事故を起こした場合に、それによって生じた他人の生命または身体の損害を填補することができる保険)
です。
つまり、対人賠償の保険への加入が義務付けられています。
対物賠償保険は対象ではないので任意になります。

次回は保険の種類について記載していこうと思います。