お酒は鍛えたら強くなる? 飲み会シーズンだから知っておきたい2つのポイント

年末ということで、お酒を飲む機会が増えている方も多いはず。しかし、そうなると気になるのが「飲みすぎ問題」ではないでしょうか? 「つい飲みすぎた」→「二日酔いでつらすぎる」→「もう二度と飲むものか(夕方にはまた“飲みたいモード”へ)」といった、なかなか抜け出せない悪循環は、お酒を飲む人にとっての普遍的な悩みです。

きょうは、お酒に関する純粋な疑問に答えてくれる第4章「検証! 酒にまつわる『なぜ? ホント?』」のなかから、2つのポイントに焦点を当ててみることにしましょう。

 

●水はすぐお腹いっぱいになるのにビールはなぜたくさん飲める?

その点を医師に聞いてみたところ、よく目にする「アルコールは胃で吸収されるからたくさん飲める」という説は部分的には正しいものの、あくまで補助的な要因であることがわかったのだとか。

それどころか、むしろアルコールには胃の排出機能を抑制する(胃の内容物を外に出にくくする)働きがあるというのです。だとしたら「ビールだったらたくさん飲める」どころか、「ビールはたくさん飲めない」ということになってしまいます。では、「ビールならたくさん飲める」という謎の現象のおもな要因はなんなのでしょうか?

この問題については、明確な定説はまだないものの、影響している可能性があると考えられているのが、胃から分泌される「ガストリン」というホルモンの存在なのだといいます。

ガストリンの影響があることは間違いなさそうではあるものの、現状ではまだ詳細は解明されていないということ。なお、この問いに答えている東海大学医学部の松嶋成志教授は、「ビールの飲みすぎは翌日まで響くので、翌日つらい思いをしないためにも、水分をしっかりとってください」と助言しています。

とはいえ水をチェイサーにビールを飲むのも難しいので、せめて、のみの最後や帰宅後に、水を飲むようにしたいということです。

 

●「鍛えれば酒に強くなる」はホント?

学生時代に先輩から「酒は鍛えれば飲めるようになる」という迷信めいたことを言われ、無理やり酒につき合わされたという方も決して少なくないはず。でも実際のところ、酒に強い人・弱い人はどう決まるのでしょうか?

酒を飲んだ際に不快な症状を起こす犯人は、アルコールを分解したときにできるアセトアルデヒドです。

このアセトアルデヒドを分解する役割を担うのが『アルデヒド脱水素酵素』ですが、その活性は、遺伝子の組み合わせによって決まっています。

“強い遺伝子”を2本持っている人はアセトアルデヒドを速やかに分解できる酒に強いタイプ。“弱い遺伝子”が2本ある人は、アセトアルデヒドがどんどん蓄積していく酒に弱いタイプです。

 

遺伝から見れば、酒に強くなるのか、弱いままなのかはいたってシンプル。

酒に強い両親のもとに生まれた子どもは「ざる」と呼ばれる酒豪に、逆に両親とも酒が弱い場合は下戸となるわけです。

なお強くなるかどうかの割合は人種によって違っており、白人や黒人はほぼ100%が酒豪になれる遺伝子の組み合わせなのだといいます。

一方、日本人を含む黄色人種では、酒豪が50%程度、下戸が10%程度、残りが“強くなれる可能性があるタイプ”なのだそうです。

おもしろいことに、“強い遺伝子”と“弱い遺伝子”をそれぞれ持つ人は、ほどほどの飲めそうな感じがするものの、初めは限りなく下戸に近い状態なのだとか。

しかし飲酒の機会が増えることで、強さが増していくタイプだというのです。

また“強い遺伝子”を持っているにも関わらず、「自分は飲めないタイプだ」と勘違いしている人もいることでしょう。

だとすれば自分の酒の強さを知りたいところですが、そのための方法として、本書では「パッチテスト」が紹介されています。

→やり方は実に簡単。脱脂綿に市販の消毒用アルコールを含ませ、上腕部の内側にテープで7分間固定し、はがした直後と10分後に、脱脂綿が当たっていた肌の色でALDH2(筆者注:アセトアルデヒドを分解するアセトアルデヒド脱水素酵素)の活性を見るだけ。脱脂綿をはがした後、肌の色が変化しないのが活性型、10分後に赤くなるのは不活性型、直後に赤くなるのは失活型という判定になる。

 

https://www.lifehacker.jp/2017/12/171206_book_to_read.html

 

酒に強くなったとしても、病気になってしまったのでは意味がありません。大切なのは、無理をせず、その日の自分の体調と相談しながら、二日酔いにならない程度の酒量を守ることですね。