気まずい面談 沈黙は「成長」のチャンス

パフォーマンス•レビューという言葉が最近よく聞かれるようになりました。いわゆる目標面談ですが、この言葉の中に含まれているニュアンとしては、その人のパフォーマンスを棚卸して評価し、次の目的に向けてのゴール設定をすることです。
部下を持つ者にとって評価面談は、部下の能力を次のレベルに引き上げるチャンスですが、人によっては、部下の面談が苦手な人もいるでしょう。かつて立てた目標の達成度合いを確認し、次の目標設定とそこに向けて何に取り組むかについて話し合うのは、まさにコーチングです。今回は、面談で特に有益なコミュニケーションについてご紹介します。

 

●面談に必要なコミュニケーション力をチェック

今まで自分が行ってきた面談を振り返ってみましょう。面談が終わった後、何をその時間内で達成できたでしょうか。面談は限られた時間内で実績を振り返り、次に向けてのモチベーションを上げる場ですから、かなり高度なコミュニケーションスキルが求められます。
以下は、効果的な面談を行う際のコミュニケーションチェックリストです。あなたが行っている面談を振り返りチェックをつけてみてください。

□ 私はいい聞き役にまわっていた
□ 私の考えに誘導していなかった
□ 部下の現状に対するフィードバックをした
□ 部下の実績に対して承認をした
□ 部下の評価をふまえた上で、次の行動へのフォローをした
□ 部下に何を期待しているかを伝えた
□ 部下の未来に向けた問いかけをしていた
□ 部下の将来についてのビジョンについて話させた

どうでしょうか?以上の5項目以上にチェックがつくようでしたら、部下にとって面談は効果的なものであったことでしょう。それ以下でしたら、取り組む課題があります。

 

●上司の一方的な話は、部下の自発的な行動を減らす

面談は、2人が向き合ってお互いに考えていることを伝える場ですから、双方向性のコミュニケーションが行われます。もし、面談であなたが一方的に話をしたとしたら、相手は「言いくるめられた」とか「話したいことを話せなかった」と感じ、その後の自発的な行動に影響を及ぼします。逆に、言葉のキャッチボールがあり、相手も自分が伝えたいことを十分に伝えることができれば、満足度は高くなり、その後の行動にもオーナーシップが生まれます。
そこで、面談でのキャッチボールをうまく行かせるためには、以下のことに注意を払ってください。

 

■客観的に話せる材料を用意する
面談を受ける人の前回の面談表、今期の業績、360度フィードバック、事前面談表など、相手のパフォーマンスを客観的に評価できる材料を用意しておきます。それがないと、お互いが主観的な立場でしか話すことができず、双方の認識が食い違う時に苦心します。

 

■今回の面談の目的について同意がある
「今日は30分話します」「今日は、今期の業績を見直し、来期に向けて何に取り組む必要があるかについて話し合います」「あなたが取り組みたいと思っていることについてできるだけ共有する時間にします」など、達成したいことを伝え、「他に○○さんが加えたいことはありますか」と聞き、お互いに面談の目的について同意します。

 

■面談中の会話を続けることに同意がある
「今は、○○さんの課題について話をしていますが、これをもう少し続けていいですか?」「○○さんからもっと話したいことはありますか?」など聞いて、今行っている会話を続けることに同意します。相手がもう話したくないとか、聞きたくないという態度になったり、面談する側もそのような態度を取ると、会話は一方通行になり、一方が相手を言い負かせてしまうという構造に入ってしまいます。

 

■適切な距離を持つ
会話をする際には、相手との距離感も大事です。物理的に距離が近すぎたり、逆に遠すぎたり、言葉遣いや態度などにも適切な距離感があるどうか認識すること。これは、非常に感覚的なものですが、面談のような場面では、できる限りお互いが公平に話ができるようフラットな感覚で話すと効果的です。

 

■自分の内面の変化に注目する
コミュニケーションは話している相手との間だけではなく、自分自身との間で起こっていることにも注目しましょう。「あ、今緊張しているな」とか「今いい感じでお互いのことを話せているな」など、自分の内面にも注意を払うことです。「今、この人を言い負かそうとしているな」などに気づくと冷静になり、やめてみたり、違うアプローチを取ることができます。

 

●主役は相手であり、あなたではない

面談の主役はあくまでも受ける人です。その人の業績を見るのであり、その人の未来について話す場です。そのことを意識することが重要です。そのためには最初の2分間が勝負です。たとえば、こんなスタートを切っていませんか。
「じゃあ、面談を始めよう。えーっと、前回の業績を見てみたんだけど、思ったよりいかなかったね。君はがんばりがきくけど、ツメが甘いところがあるんじゃないか」
など、一方的に話を始めてしまうと、相手は会話をする気持ちが起こらず、受け身になりがちです。
「これから30分は、○○さんの今期の振り返りと、来期に向けての目標設定のための時間にしたいと思います。○○さんは、この時間をどのようなものにしたいですか」
など、最初から相手に会話に関わらせること、話させることです

 

●未来の問いかけを用意し、相手に考えさせる

面談では業績評価などの現状の把握は大切ですが、それよりも重要なのは次の期に向けての予測や次の行動を促すためのモチベーションの向上です。面談の全体の時間の4割はそこに当てることです。その部分に来たら、あなたはできるだけ聞く側に回りましょう。
現状を振り返り、次への課題が明確になったら、どんな取り組みをし、何を達成するのか、相手に話をしてもらう時間を作りましょう。そのために必要なのは、未来について問いかける質問と自分が沈黙することです。
これからは何が課題になりますか?
次に達成したいことは何ですか?
誰と一緒に取り組むといいですか?
何かリスクがあるとしたらそれは何ですか?
次の面談のときにはどんなことを達成していたいですか?
今必要とする能力は何?
私が何か力を貸せることがあるとしたら何ですか?

 

●相手が沈黙しているときこそ、成長のチャンス

相手に考えさせる質問は、場合によっては黙って考え込むことが多いでしょう。その時はチャンス。あわてて口を挟んだり、こちらからアドバイスはしないこと。じっと我慢して沈黙すること。何かでてきたら、「他には?」とさらに聞いてみましょう。自分で考え自分で出す答えは、実践する傾向が高くなります。面談で沈黙が訪れたら、それはチャンスだととらえ待ちましょう。
ただ、人によっては、何も考えていないために話すことがなくて黙っていたり、会話そのものが面倒になって黙っていることもあります。そんな状況では会話は成り立ちません。そうならないためにも、常に相手とのコミュニケーションと自分の内面とのコミュニケーションにアンテナを立て、「ここは黙って相手に考えさせたほうが有益である」と判断したら沈黙を重視し、「この人はもうここで主体的にさせるのが無理だ」と思ったら切り上げましょう。
面談は凝縮した未来へのコミュニケーションの場です。有効に使ってあなたの部下全体の意気を上げてください

 

https://allabout.co.jp/gm/gc/378574/2/

 

沈黙=成長のチャンス!!