“速読”して聴き上手になろう!
「その薬はどこで売っているんですか?」
この質問は、ある会社で聴き方研修を行っているとき、聴き手の人が相手に投げ掛けた質問です。そのとき、話し手の人は、最近「コエンザイムQ10」入りの薬を飲んで、とても体調がよくなり仕事もプライベートも順調だという話をしていました。
さて、冒頭に挙げた質問は相手の話を広げるうえで、いい質問といえるでしょうか?
それを判断するポイントは次の2つです。
・相手が話したいことを聴いているかどうか?
・自分が聴きたいことを聴いていないかどうか?
さて、答えはいい質問とはいえない、です。なぜならば、冒頭の質問は聴き手が聴きたい質問であり、いい質問とは言えません。もし、こんな質問ばかり続けると、まるで取り調べのようになり、会話は止まってしまいます。
一方、聴き上手と言われる人は、相手が話したいことについて質問して聴いています。上の例であれば、次のような質問になるでしょう。
「仕事、プライベートはどのように順調なのですか?」
「さらに何をやりたいですか?」
●聴き上手は相手が話したいことを聴いている
自分が話したいことを聴かれることで、話し手はさらに気持ちよく話していきます。営業マンが顧客のニーズを探り出すとき、マネジャーが部下の目標を引き出すときにも、相手が話したいことを聴くのが鉄則です。
しかし実際には、多くの営業マンやマネジャーが、自分の聴きたいことだけを聴いてしまっています。これでは顧客のニーズが何か? 部下の目標は何か? を一所懸命聴き出そうとしても、話が続かず苦労するばかりです。
まずは、相手が話したいことを聴いていきましょう。そこから対話が始まり、結果的にあなたが聴きたいことをちゃんと聴き出せるようになるのです。
とはいえ、ついつい、自分が聴きたいことに関する質問が出てしまうものです。ではどうすれば、それをなくすことができるのでしょう? 実は自分が聴きたいことに関する質問の出どころを探ってみると、それは自分が「わからないことに対する不安」に行き着くのです。
●自分がわからないことは脇におく
相手の話の中で、自分のわからないことが出てくると、ついつい「それって何なのだろう? どうなんだろう?」という疑問が頭をもたげ、質問になって出てしまうのです。
聴き上手になるためには、「わからないことに対する不安」をそのままにすること。つまり、自分がわからなくても気にしないようになればいいのです。
とはいえ、わからないことは誰しも気になるものです。そこでこれを訓練するために最適な方法をご紹介します。それは本を速く読むこと。試しに、手元にある本を手に取って、通常の3倍以上の速さで読んでみてください。
本をこれまでより速く読もうとすると、当然意味のわからない部分が増えてきます。わからない部分があると、ついつい不安になって元の速さに戻りたくなりますが、わからないことはいったん脇に置いて読み続けること。これがコツなのです。
●“速読”できればあなたも聴き上手に!
これまでだったら2時間かけていたような本を、30分を目標に読んでみましょう。確かにわからないところは、たくさん残っているかもしれませんが、いったん全部を読みきることでわかったことも多いはずです。
そして、今度は先ほどよりも速く20分ほどかけて同じ本を読んでみましょう。今度は1回目にわからなかったことに、焦点を当てて読んでもいいでしょう。相変わらずわからないことはあると思いますが、いったん脇においてとにかく読みきります。さらに次は10分でもう一度読みます。1回目、2回目、3回目と繰り返し速く読んでいく過程で、わかる部分が増えていることに気づくでしょう。
わからないことをいったん脇におけるようになると、本を速く読むことが可能になります。すると、これまで1回しか読んでいなかった本を、2回、3回と読むことができるようになります。多くの場合、結果として、わからないことにこだわってゆっくり読んだときに比べて、最終的な理解度は高まります。ぜひ試してみてください。
そして、こんな“速読”をしていくうちに、人の話を聴くときにも同じように、わからないことをいったん脇に置いて、話を聴くことができるようになっていきます。自分の聴きたいことを聴くのをやめて、相手の話したいことを聴けるようになるのです。
もちろん、わからないことを相手に確認することが、必要な場合もあります。ただし、聴き上手になる基本は、あくまで「相手が話したいことを聴く」です
https://allabout.co.jp/gm/gc/291790/2/
私も“速読”で自分を鍛えて聴き上手になります。