デキない人のメールには、“たった1つの要素”がない

メールを巧みに使いこなしてスピーディに仕事を進めていく人や、次から次へと成果をあげていく人がいる一方で、メールによるやり取りが下手で、ミスばかり犯している人がいます。

いえ、本人に下手という自覚があるならいいのですが、本当に下手な人に限って、その自覚がありません。自分が書いたメールが原因でさまざまなミスや誤解、トラブルが起きているにもかかわらず、その原因は自分ではなく、相手にあると思い込んでいるのです。

さて、ここまでの文章を読んで、「そうそう、そういう人っているよね」と思ったあなたは注意が必要です。その理由は先ほど書きました。本当に下手な人ほど自覚症状に乏しいからです。

ミスや誤解、トラブルを招くメールを書きがちな人には共通点があります。「書き手の“当たり前”と読み手の“当たり前”が違う」ことに気づいていない、という点です。気づいていないために、本来すべき説明を省いてしまうのです。つまりは「説明不足」。その結果、「どういう意味?」「何のこと?」と相手を困惑させてしまうのです。

言葉足らずなメールが大きな誤解やトラブルを招き、仕事の流れを滞らせてしまうこともしばしば。「言った・言わない」でこじれれば、信用問題にも発展しかねません。説明不足なメールは、仕事の効率と生産性を著しく低下させます。リスクに満ちたこの状況を放置していてはいけません。

 

●説明不足なメールは、相手に負担をかける悪者だ!

【メール原文】
商品Aの試作品が、あさって届きます。したがって、明日中に会議を行いたいと思います。ご予定はいかがでしょうか。

メール相手の表情が曇りました。「試作品の到着があさってならば、フィードバック会議は、到着後でいいのでは?」。メールを何度読み返しても納得がいきません。

実は、メールにあった「会議」とは、試作品の「フィードバック会議」ではなく、毎月定例で行っている企画会議のことだったのです。試作品が届いた直後だと慌ただしいので、その前にしておこうと思ったようです。

ところが、そうした書き手の意図は、いっさいメールに盛り込まれていません。だからメール相手の表情が曇ったのです。書き手の責任にもかかわらず、読み手は、「自分の理解度が低いのか?」とメールの文面を何度も読み返す……。なんともせつないシーンです。

 

おそらくこの人は、理解に苦しんだ挙げ句、「試作品の到着があさってであれば、フィードバック会議はあさって以降のほうがいいのではないでしょうか」と確認のメールを返したはずです。普段、言葉足らずなメールばかり送っている人は、メール相手の時間を奪っている点も自覚しなければいけません。

 

【改善文】
商品Aの試作品が、あさって届きます。試作品到着後は慌ただしくなることが予想されるので、明日中に定例の企画会議を行いたいと思います。ご予定はいかがでしょうか。

改善文では、会議が「定例の企画会議」であることなど、省かれていた情報が盛り込まれています。この文面であれば、メール受信者が困惑することも、メールを何度も読み返す必要もありません。

 

●読み手は「理解しない」「察しない」「自己解釈する」生き物である

書き手がいくら「相手は分かってくれるはず」と思っていても、実際にそうとは限りません。ましてや「察してくれるはず」と期待するのは虫が良すぎます。察するどころか、文章の読み手は、いつでも自分にとって都合よく文面を読み、そして、都合よく自己解釈します。

そもそも「書き手の“当たり前”と読み手の“当たり前”」は同じではありません。むしろ、メールを書くときには、読み手は「何も分かってくれないかもしれない」「察してもくれない」「都合よく自己解釈する恐れがある」という“厳しい前提”に立っておく必要があるのです。

【NG文】

本日は雨のため、打ち合わせを延期させていただけますでしょうか。

メールの受信者は、「どうして雨だと打ち合わせが延期になるの? 意味がわからないんだけど……」と訝しがりました。これもまたメール送信者の説明不足に原因があります。

 

【改善文】
本日は雨のため、午前中に予定していた外構の視察ができそうにありません。現場を確認していない状態では、たいしたお話ができないため、本日の打ち合わせを延期させていただけますでしょうか。

しっかりと理由を説明した改善文であれば、書き手の意図は誤解なく伝わります。読む人がストレスを感じることもないはずです。

書き手は「そんなことはわざわざ書かなくても分かってくれるだろう」と思っているのかもしれませんが、事実、相手は分かっていません。伝わらない原因を相手のせいにしている限り、メール下手の改善は見込めません。まずは書き手自身に非があることに気づく必要があるのです。

 

●「具体的な説明」が、誤解やトラブルの発生を防ぐ!

自分が書いた文章に対して、読んだ人から「○○とは、どういう意味でしょうか?」と質問を受ける機会が多い方は、いちど自分の「説明不足なメール文章=伝わらない文章」を疑いましょう。もしかすると、相手に大きな負担や迷惑をかけているかもしれません。

もっとも、最終的にどこまで具体的に情報を盛り込むかは、相手の知識や理解度、状況把握レベルなどにもよります。相手が100%理解している事柄を長々と書けば「くどいメール」と煙たがれてしまいます。そこは程度問題として考えなければいけません。

とはいえ、基本スタンスは“備えあれば憂いなし”です。メールでの伝達ミスが頻発している方は、慎重になりすぎるくらいでちょうどいいはずです。「書き手の“当たり前”と読み手の“当たり前”は違う」という大前提に立って、必要な説明を盛り込みましょう。

 

https://next.rikunabi.com/journal/entry/20161122_M1

 

その大事な要素をちゃんとすれば一気に仕事がデキるようになるっっ!